登記識別情報について

 登記識別情報は,登記が完了した際に,買主・相続人等の登記名義を受けた方に通知されるパスワードです。
 従来の登記済権利証は作成されず,代わりに「登記識別情報通知」という書面が発行され,この通知書に「登記識別情報」が記録されています。

 登記識別情報は12桁の英数字の組み合わせでできています。次回の登記申請(不動産の売却・抵当権の設定等)の際に,登記名義人であることの証明資料として,法務局に対して提供することとなります。

 登記識別情報が第三者に見られたり,コピーされたりすると,従来の登記済権利証が盗まれたのと同様の危険が生じますので,管理には十分ご注意ください。必要が生じるまでシールを剥がしたり,ミシン目を切り取り,登記識別情報が見える状態にしないことを強くお勧めします。

 登記識別情報が盗まれ,悪用される危険が生じた場合のために,登記識別情報を失効させることが可能です。ただし,一度失効すると再発行は出来ず,不動産売却をする場合や新たに抵当権を設定する際に,別途手続や費用がかかることがありますのでご注意下さい。

登記識別情報(シール形式)のサンプルはこちら[PDF]
登記識別情報(折込形式)のサンプルはこちら[PDF]

登記済権利証・登記識別情報を紛失した場合

 名義が変更される危険性について 

 登記済権利証・登記識別情報通知を紛失した場合や,登記識別情報通知が知らない間にシール・ミシン目を開封されるなどした場合,第三者がこれらを悪用し,勝手に所有権の移転の登記や抵当権の設定の登記をしてしまうのではないかということが考えられます。
 しかし,このような登記の申請には,登記済権利証・登記識別情報のほかに,実印や印鑑証明書が必要となります。そのため,実印や印鑑カードの管理を行っていれば,直ちに登記がなされることはありません。
 また,登記済権利証・登記識別情報を紛失しただけでは,権利を失うわけではありません。

 なお,窃盗・強盗等により登記済権利証・登記識別情報の他,実印や印鑑カードも窃取された場合など差し迫った危険がある場合は,警察への被害届,市区町村への印鑑の廃止をしていただくとともに,下記の不正登記防止申出・登記識別情報の失効手続もご検討ください。

 再発行について 

 登記済権利証・登記識別情報は,「登記が完了した際に」発行されるものですので,再発行はできません。
 しかし,代替措置がありますので,登記済権利証・登記識別情報を紛失したからといって売却等の所有権の移転や抵当権の設定ができないというわけではありません。

 不正登記防止申出の制度について 

 不正登記防止申出の制度は,不正な登記がされる差し迫った危険がある場合(窃盗・強盗等により登記済権利証・登記識別情報の他,実印や印鑑カードも窃取された場合など)に,申出から3か月以内に不正な登記がされることを防止するための制度です。
 3か月の期間内に登記の申請があった場合は,申出をした方に対して,法務局から通知がなされます。
 この通知により,申出をした方は第三者から登記申請がされている事を知ることができます。

 また,登記官が申請人の本人確認を行うこととなるので,登記の申請が却下される可能性があります。
 ただし,登記を禁止する制度ではないため,本人確認の結果,申請権限があると判断された場合,登記がなされる可能性があります。
 詳しくは当事務所までお問い合わせください。

 登記識別情報の失効申出について 

 登記識別情報は,申出により,失効させることができます。
 ただし,紛失した登記識別情報通知を発見したとしても,一度失効させた登記識別情報を復活させることはできませんので,ご注意ください。
 詳しくは当事務所までお問い合わせください。

 代替手段について 

 所有権の移転や抵当権の設定等の登記識別情報・登記済権利証を提供しなければならない登記申請において,登記識別情報・登記済権利証を提供できない場合には,これに代えて下記①~③のいずれかの手続を利用することになります。

① 本人確認情報の作成・提供

 資格者代理人(司法書士等)が,申請人本人と直接面談し,その者が登記申請権限を有する登記義務者本人であることを確認した上で,その情報を登記官に提供する手続です。面談の際には,運転免許証やパスポートなど本人確認の資料を用意していただく必要があります。また,本人確認情報を作成するにあたり,別途,作成費用が必要になります。

② 公証人による認証

 登記申請人が,公証人の面前で登記申請委任状等に署名押印し,登記義務者本人であることの認証を受ける手続です。この公証人の認証を取得するために,公証役場に自ら出向いて頂き,公証人と直接面談して頂く必要があります。また,別途,認証手数料が必要になります。
 なお,手続によっては,この方法を使用することができない場合があります。

③ 事前通知

 登記申請にあたり登記識別情報(または登記済証)が提供されず,かつ,本人確認情報の提供や公証人の認証がない場合に,登記官が登記義務者に対して,登記申請があった旨および登記申請の内容が真実であるときは,2週間以内にその申出をすべき旨を通知し,申請人が申請に間違いがない旨の申出をすることにより登記義務者の本人確認をする手続です。
 なお,手続によっては,この方法を使用することができない場合があります。